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2010.10.28
[イベントレポート]
TIFF史上初の“iChatティーチイン”で大盛り上がり!─10/28(木)特別招待作品『クレイジーズ』:Q&A

TIFF史上初の“iChatティーチイン”で大盛り上がり!─10/28(木)特別招待作品『クレイジーズ』:Q&A

 28日(木)夜の「特別招待作品」では、あのジョージ・A・ロメロ監督が『ゾンビ』の前、1973年に作り上げた傑作“感染パニック”のリメイクとして話題の『クレイジーズ』が上映されました。上映後には映画祭恒例の「Q&A」が行われたのですが……監督は舞台ではなく、スクリーンに大写しで登場。Macのチャット機能「iChat」のビデオチャットを使用して、現地時間午前4時(!)、ロサンゼルスの自宅で待機するブレック・アイズナー監督と東京・六本木ヒルズの会場を結んで、TIFF史上初の“iChatティーチイン”が実施されました。

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©2010 TIFF


 質問者として選ばれた観客は、白いスーツとガスマスク姿の“捕獲隊”に両脇を抱えられて、カメラに映し出されるマイク前に拉致連行。この趣向に監督も大喜びし、本作が長編第2作の若手監督らしい、ジョークと映画愛に満ちたやり取りが繰り広げられました。

──やり尽くされたというか、古典的な結末だと思ったのですが、どうしてこのラストにしようと思ったのですか?

「このラストは73年のロメロ監督のオリジナル作『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』とまったく同じ。単純かもしれないけど、一度作られたものですからね。当時はベトナム戦争後という社会背景がありましたが、考えてみると、現代もテロに対するアメリカの戦争が行われています。“軍隊が政治家の操るマシーン”のようになっている点は、当時もいまも同じなんじゃないかと思っています」

──撮影するのが一番難しかったシーンは?

「やっぱり大きな見せ場の“洗車”シーンですね。あそこには主人公たち4人がいて、車が洗車マシーンを通っている。そこに何人もの感染者が現われて、ガラスは割れるわ、水しぶきは飛ぶわ……です(笑)。ハリウッド映画としては低予算でしたから、アクションもVFXもとてもタイトなスケジュールだったんです」

──僕はブラジル出身で日本の大学に通っているんですが、将来はVFXマンとして映画の仕事がしたいと思ってます。こだわったシーンを教えてください。

「VFXの勉強をしてるんだ? それは素晴らしい! 一番こだわったのは、水中に飛行機が沈んでいるのが俯瞰で分かるシーン。実際の飛行機を沈めようと思ったんですが、やっぱり高くつくので、あれはボートに乗っている人間以外は、飛行機、水面、そして川の底の地面まで全部CGで作りました。一番複雑だったのは、最後の爆発にトラックが巻き込まれるところですね。夜のシーンですが、明るい時間にトラックだけ先に撮影して、その後に多くの効果をCGで加えて作っていったんですね」

──すごい特殊メイクでトラウマになりそうです(笑)。エピソードがあれば教えてください。

「オリジナル作との大きな違いが、その特殊メイクです。オリジナル作はメイクが使われていなくて、感染者も正常な人間も同じ顔で、俳優の演技でその差を表現していました。でも今回はあえて見た目で分かるようにしたんです。映画が完成した後、ロメロ監督と食事をして1時間ほど、本当に色んなことを話しました。監督がこの作品を認めてくださって本当に光栄だったんですが、どうもこのメイクについてだけは気に入らないみたいで(苦笑)。彼は(旧作と同じく)必要なかったと思っているみたいです」

──監督が思う“クレイジー”なことって何ですか?

「質問しているあなたが、その白い服(捕獲隊)の2人に挟まれてるのもかなりクレイジーな状況ですよね(笑)。まあ冗談はさておき……劇中で軍の人間が黒いバンから出てきて、主人公たちが置かれている状況を全部白状させられますよね。僕はそうした軍隊の行為、感染していない人たちの行為こそが、一番“クレイジー”なことだと思っています」

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©2010 TIFF


 最後に監督は「大作なわけでもないとてもアメリカ的な映画なのに、TIFFで観ていただけたことに感謝します。軍や生物兵器のことを考えるきっかけになれば嬉しいです」と語り、「この後はまた寝るんですか?」という司会者からの問いには、「9ヵ月の赤ちゃんがいるので、彼女がたぶん寝かせてくれないと思います(笑)」と、会場をあたたかい気持ちにさせるコメントでイベントを締めました。

 なお、この日質問者に選ばれた観客には監督のサイン入りポスターがプレゼント。来場者全員にも、感染のきっかけになる飲料水にちなんだミネラルウォーター“感染水”が配られました。

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©2010 TIFF


『クレイジーズ』
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