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2010.10.31
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「映画は世界を変えられる」─10/31(日)東京 サクラ グランプリ『僕の心の奥の文法』受賞者記者会見

「映画は世界を変えられる」─10/31(日)東京 サクラ グランプリ『僕の心の奥の文法』受賞者記者会見

第23回東京国際映画祭“東京 サクラ グランプリ”には、ニル・ベルグマン監督のイスラエル映画『僕の心の奥の文法』が輝きました。同作が2本目の監督作となるベルグマン監督は、処女作『ブロークン・ウィング』が第15回東京国際映画祭でグランプリを獲得。2本連続、2度目となる快挙を達成したことになります。

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©2010 TIFF


輝くトロフィーとともに会見場に現われたベルグマン監督。「本当に驚いています。嬉しさでいっぱいです」と首から提げたIDカードにキス。主演女優のオルリ・ジルベルシャッツさんと会見に臨みました。

同作は、束の間の平和が訪れていた1963年イスラエルを舞台に、成長することをやめた少年とその家族の姿を通して、コメディ要素も交えながら、不穏な時代への抵抗感を描いていくドラマ。主人公アロハンをみずみずしく演じたロイ・エルスベルグくんを「プリンス」と称していた監督は、「キスしてハグして肩車してあげたい」と喜びを表現。劇中でアロハンの母を演じたオルリさんは、「彼が初めて出た映画。きっと喜んでくれると思います」と述べました。その母親役は、実際に3人の子どもを持つオルリさんにとっては「辛い経験」だったそうで、「仕事としては割り切りましたが、ずっと怒ってばかりの、母としても妻としても嫌な部分しかない役でした。普段もそうじゃないのか? と思われるのが気になって……」と明かしました。

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「撮影で技術的に一番苦労したのは、死海にボートを浮かべるシーン」と質問に答えた監督。「死海はとても危険な場所で、遊泳や潜水が禁止されていたのですが、特別に許可を取り、自分がボートに乗って安全を確認してから撮影しました」とエピソードを披露。オルリさんにとっては「時代設定が、どうしても自分の辛い思い出を呼び起こすものだった」そうで、「私の母がそうですが、当時はホロコーストを逃れた移民が多くいましたし、仕事とはいえ、そうした忘れたい記憶を思い出すのが辛かったです」と述べました。

ベルグマン監督は、「(撮影中)楽しかったシーンはあまりないです(笑)」としながらも、「2作目ということで大きなプレッシャーがありました。その作品がこうしてグランプリを取れたことは、前回以上に重みがあります。特別な賞です」と今回の受賞の意義を語り、オルリさんは「私たちの国は問題を抱えていますが、“もっと問題を抱えている国でも映画が作られている”ということを映画祭で実感して、希望を感じています。キレイ事を言うつもりはありませんが、映画や芸術が世界を変えていけるのではないかと思えますね」と続けて、会見を結びました。

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