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2010.10.31
[更新/お知らせ]
新藤監督、引退宣言を撤回!?─10/31(日)審査員特別賞『一枚のハガキ』、最優秀監督賞/観客賞『サラの鍵』受賞者記者会見

新藤監督、引退宣言を撤回!?─10/31(日)審査員特別賞『一枚のハガキ』、最優秀監督賞/観客賞『サラの鍵』受賞者記者会見

第23回東京国際映画祭 最優秀監督賞と観客賞のダブル受賞となったのは、ジル・パケ=ブレネール監督の『サラの鍵』。そして新藤兼人監督『一枚のハガキ』には、審査員特別賞が授与されました。

御年98歳、お孫さんに付き添われての登場となった新藤監督は、「映画を撮っているうちに98歳になってしまいました。この作品が最後になると思います。俳優や裏方さんたちに支えられて完成させることができました。本当にありがとうと言いたいです」と挨拶。パケ=ブレネール監督は「最優秀監督賞もありがたいですが、重い題材を多くの方に理解していただきたいと思って作りましたから、観客賞をいただけたことに大きな意味があります」と語り、「私も新藤監督と同じ年齢まで映画を撮り続けたい」と挨拶しました。

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©2010 TIFF


新藤監督の熱烈なファンとおぼしき男性記者から「世界には102歳の映画監督がいると聞きます。ぜひまだがんばってください!」と寄せられたエールに、監督は「死が直前に迫っていますから固い約束はできないですけれど、誰か応援してくれる人がいれば、またやってもいいかなあ……」と返答し、会場からは大きな拍手が。「1950年に独立プロを立ち上げて60年が経ちました。最初からお金がなくて、ずっと金策に奔走する毎日でしたけど、転んでも泣かないで映画を作ってきました。泣いてたら映画なんて作れませんから、ずっと前を向いて。98歳になってもう後がないと思いまして、これで終わりと『一枚のハガキ』を作ったんです」と新藤監督。途中、自分の作品のタイトルをつい間違ってしまい、会場を優しい笑いに包んだ後も、映画に対する想いを続けます。

「(出品されている他作品は)みんないい映画なんですけど、運があったおかげで(審査員特別)賞が獲れて、『これを励みにしてまた撮ってください』と言われましたが……もうダメ。励ましてくれる人がいないと映画は作れないんです。映画監督は面白いけど、しんどい仕事です。映画祭に出品している監督はみんな実感していると思いますが、とにかくお金を集めなければいけない。でも本当に(映画を作るというのは)魅力的な仕事です」

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©2010 TIFF


パケ=ブレネール監督は「監督は常にお金を集めている仕事なんですよね」と付け加えて、「世界には悲しみがたくさんありますが、本当にみんな気にしているんだろうか? と思います。いま行動を起こさないと、すべて自分に降りかかってくることになります。ぜひ気にかけてください」と、自身の映画に込めた想いを語りました。

奇しくも、第二次大戦によって引き起こされた悲劇を描く2作品が並ぶことになった記者会見。作品に込められた想いは共通だったのかもしれません。

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