2010.10.23
[イベントレポート]
「私はアーティストとして、繊細である事、そして人間の存在というものに焦点を当てている事に誇りを感じています。」-10/23(土)『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』:Q&A
10/23(土)、第23回東京国際映画祭、最初の上映作品となった『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』のQ&Aが行われました。
登壇前夜はカラオケを十分に楽しんだというヴィック・ムニーズさん、「朝早いのが辛かった!」と言いつつも、満面の笑みでのご登壇となりました。
現代アートの作家であるムニーズさんが、このドキュメンタリー制作に加わった経緯と、ムニーズさんご自身が印象に残っているシーンを語ってくれました。
ヴィック・ムニーズさん:「(世界でもっとも注目を集めるアーティストであるということを映画の冒頭でアピールし、強調したことについては、)現代アートを知っている方に印象づけるのはとても簡単なことです。しかし、このごみ処理場に行った時、まったく現代アートを知らない人にどうやって話せばいいのか、非常に迷いました。
冒頭で“私は世界でもっとも売れているアーティストだ”と話したのは、現代アートを知らない人達に関心をもってもらうためと、プロジェクトに参加してもらうためで普段からそのような事を言っているわけではありません。
20年に渡って自分のやってきている事を証明してきたわけですが、ここに来て、やってきた事が本物である!という事を自分自身納得するためにやりたいと思いました。
そのためにも、現代アートをまったく知らない人達と一緒にプロジェクトをやりたい!と思ったわけです。その人達が現代アートについて何を知り、何を知らないのかにかかわらず、このアートは皆さんを変える力があるという事を見せたかったのです。
この映画のプロジェクトを始めたとき、私はもちろんごみ拾いの人達の事を知っていましたが、少し差別的に思っていました。ごみ拾いの人たちは、もともと犯罪者だったりドラッグディーラーの人達だったのですが、プロジェクトを進めて行くうちに本当の友達になり、今でもよく会っています。
プロジェクトを終了した現在でもリサイクルのための物を拾っている人達の生活の向上のための仕事をしてます。
そして、この映画の中には、いつも私が泣けてくる場面がひとつあります。それは、(ある女性が)絵を受け取って“私に対して、この絵の持つ意味がわかる?”と言う場面です。その時、私もこの絵が私にとってどんな意味があることか!と思ったことを思い出すからです。」
会場からは、ヴィックさんの活動に対しての賛同の言葉も寄せられました。
さらに、社会的なコンテンポラリアートと政治的なコンテンポラリアートについての質問には、「良かれ悪かれすべて現代アートは政治的なものであると思います。世界的に政治にも影響を与えるものだと思いますが、私たちアーティストというのはパン屋や警察官よりも政治の事について話すにふさわしい立場ではないと思います。私はアーティストとして、繊細である事、そして人間の存在というものに焦点を当てている事に誇りを感じています。
政治的な問題を描く事によって問題が解決することもありますが、政治的な問題に意見を加えてしまうことは非常にリスクが高い事だと思います。フォトジャーナリズムなどマスコミもそうですが、中立的な立場でいるべきだと思います。
アーティストというのは花を扱ったり、物を作ったり、いろいろ出来ますが、すべてが世界を良くしていくものだと思います。それが政治的であるかどうか、たとえ政治的にしなくても見ようと思えば見えるものであると思います。写真にしてもお花にしても絵画にしても誰に見せるかによって政治的な意味を持つ可能性があります。
シンプルな物がアートになる瞬間というのは、大勢の人にインパクトを与える時もありますし、もしくはたった一人のひとにインパクトを残す事もあります。」
ご自身の影響力とアート感について、真摯に語られたヴィック・ムニーズさん。
観客からの大きな拍手に、笑顔で会場を後にされました。
『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』
→作品詳細
登壇前夜はカラオケを十分に楽しんだというヴィック・ムニーズさん、「朝早いのが辛かった!」と言いつつも、満面の笑みでのご登壇となりました。
©2010 TIFF
現代アートの作家であるムニーズさんが、このドキュメンタリー制作に加わった経緯と、ムニーズさんご自身が印象に残っているシーンを語ってくれました。
ヴィック・ムニーズさん:「(世界でもっとも注目を集めるアーティストであるということを映画の冒頭でアピールし、強調したことについては、)現代アートを知っている方に印象づけるのはとても簡単なことです。しかし、このごみ処理場に行った時、まったく現代アートを知らない人にどうやって話せばいいのか、非常に迷いました。
冒頭で“私は世界でもっとも売れているアーティストだ”と話したのは、現代アートを知らない人達に関心をもってもらうためと、プロジェクトに参加してもらうためで普段からそのような事を言っているわけではありません。
20年に渡って自分のやってきている事を証明してきたわけですが、ここに来て、やってきた事が本物である!という事を自分自身納得するためにやりたいと思いました。
そのためにも、現代アートをまったく知らない人達と一緒にプロジェクトをやりたい!と思ったわけです。その人達が現代アートについて何を知り、何を知らないのかにかかわらず、このアートは皆さんを変える力があるという事を見せたかったのです。
この映画のプロジェクトを始めたとき、私はもちろんごみ拾いの人達の事を知っていましたが、少し差別的に思っていました。ごみ拾いの人たちは、もともと犯罪者だったりドラッグディーラーの人達だったのですが、プロジェクトを進めて行くうちに本当の友達になり、今でもよく会っています。
プロジェクトを終了した現在でもリサイクルのための物を拾っている人達の生活の向上のための仕事をしてます。
そして、この映画の中には、いつも私が泣けてくる場面がひとつあります。それは、(ある女性が)絵を受け取って“私に対して、この絵の持つ意味がわかる?”と言う場面です。その時、私もこの絵が私にとってどんな意味があることか!と思ったことを思い出すからです。」
会場からは、ヴィックさんの活動に対しての賛同の言葉も寄せられました。
さらに、社会的なコンテンポラリアートと政治的なコンテンポラリアートについての質問には、「良かれ悪かれすべて現代アートは政治的なものであると思います。世界的に政治にも影響を与えるものだと思いますが、私たちアーティストというのはパン屋や警察官よりも政治の事について話すにふさわしい立場ではないと思います。私はアーティストとして、繊細である事、そして人間の存在というものに焦点を当てている事に誇りを感じています。
政治的な問題を描く事によって問題が解決することもありますが、政治的な問題に意見を加えてしまうことは非常にリスクが高い事だと思います。フォトジャーナリズムなどマスコミもそうですが、中立的な立場でいるべきだと思います。
アーティストというのは花を扱ったり、物を作ったり、いろいろ出来ますが、すべてが世界を良くしていくものだと思います。それが政治的であるかどうか、たとえ政治的にしなくても見ようと思えば見えるものであると思います。写真にしてもお花にしても絵画にしても誰に見せるかによって政治的な意味を持つ可能性があります。
シンプルな物がアートになる瞬間というのは、大勢の人にインパクトを与える時もありますし、もしくはたった一人のひとにインパクトを残す事もあります。」
ご自身の影響力とアート感について、真摯に語られたヴィック・ムニーズさん。
観客からの大きな拍手に、笑顔で会場を後にされました。
©2010 TIFF
『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』
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