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2010.10.28
[イベントレポート]
コンペティション 『鋼のピアノ』Q&A+記者会見のご報告

コンペティション 『鋼のピアノ』Q&A+記者会見のご報告

記者会見:10月28日(木) 13:00~ @TIFF movie café
Q&A:10月28日(木) 19:30~ TOHOシネマズScreen6

©2010 TIFF


■登壇者 チャン・メン(監督)、ワン・チエンユエン(俳優)、ジェシカ・カム(プロデューサー)、チェ・グァンソク(プロデューサー)

チャン・メン監督(以下、監督): 東京は大好きな街です。この映画祭も大好きです。

ワン・チエンユエンさん: こんなに多くのメディアの方々にお集まりいただいて嬉しく思います。興奮しています。私たちの映画がコンペティション部門に選ばれ、ここへ来ることができました。この映画が皆さんに気に入っていただければ嬉しいです。

ジェシカ・カムさん: TIFFに参加させて頂くことで、多くの素晴らしい監督やプロデューサーの方々ともお目にかかることができています。多くを学び、また東京を楽しんで帰りたいと思います。

チェ・グァンソクさん: TIFFに私たちが制作した映画を持って来られたということを大変光栄に思います。作品を気に入っていただければ幸いです。

Q: 音楽がものすごく使われている映画で、「トロイカ」から始まって「川辺の二人」まで、ロシア民謡、中国の歌、最後はスペイン語の歌と、音楽や歌の多様な効果、それからテーマとの関わりについて教えてください。

監督: さまざまな国の音楽の中から、メランコリックなものや情熱的な音楽を選びました。とりわけ、ロシアとドイツの曲を多く使いました。それは、両国が社会主義国家である、社会主義国家であったということで、中国を描く上でそういった色彩を求めました。ロシアが中国を支援してきたという歴史背景からも、ロシア民謡は中国全土で良く知られているもので、「トロイカ」も馴染み深い曲です。それから「乾杯」(長渕剛)ですが、実はこれが日本の曲だということを知りませんでした。幼いころに聞いた曲で、当時の曲は台湾や香港を通じて中国大陸に入ってきていました。

Q: ストーリーのきっかけとなった出来事はあったのでしょうか?

監督: 本当にシンプルなものです。今中国では経済が飛躍的に成長しています。この早過ぎる時代の流れについて行けない人々もいます。この大きな変革期に、かつて工場で働いていた労働者達がこれまでの時代の中でいかに貢献してきたか、社会に役立ってきたのかといことを記憶に留めてもらいたいと思いました。時の流れは早く、私たちに立ち止まる時間すら与えてくれないと感じる時もあります。私は映画を通じて、しっかりと過去について、そして過去の人々のことを思い出してほしい、そう思いこの映画をつくりました。

Q: ワンさん、実際にお父様に手作りのプレゼントをされたことはありますか?

ワンさん: 父親の子どもに対する愛の深さは、万国共通です。ただ、その愛の表現方法は、人様々だと思います。この映画の中で、監督は私に素晴らしいチャンスを与えてくれました。実は私の父も50年ものキャリアのある役者で、この映画に出演しています。年配のワンさんという工場の技術者の役で登場しています。私の母も俳優です。私は、毎日撮影に忙しくしていましたが、70歳になる父はいつでも深い愛をもって私を見守ってくれています。時に朝方に食べ物を用意してくれたりと、気をつかってくれました。私が小さい時におもちゃのピストルや、冬にはソリを作って一緒に遊んでくれたりしました。ですから、映画の中に出てくる父親のように優しいお父さんでした。私はチェン・グイリンがとても好きですし、もちろん自分の父親を心から愛しています。

Q: 韓国のプロデューサー、香港のプロデューサーと国際色豊かな映画ですね?

ジェシカさん: ええ、国際的なチームです。監督と俳優は中国から、私は香港とアメリカから、チェさんは韓国人ですから。チャン監督とは、昨年の上海国際映画祭で出会いました。チェさんと一緒に投資家にこの映画を売り込んでいらしたんですが、とてもストーリーが気に入って、プロデュースさせていただくことになりました。それから今日はこの場にはおりませんが、『猟奇的な彼女』を監督されたクァク・ジョヨンさんに製作総指揮を、それからチェさんのはからいで部分的にポスプロを韓国で行うことができました。それから撮影監督は、台湾のチョウ・シューハオさんに務めていただきました。たくさんの通訳者の協力も得て、国際的な現場となり、とても素晴らしい経験となりました。

チェさん: この映画の前は、チャン・メン監督と『Lucky Dog』という映画の制作にあたっていましたが、その当時からこの『鋼のピアノ』を一緒につくりたいと話していました。とにかくストーリーが素晴らしいので、映画作品として仕上げたいと思っていました。

監督: 国際的なチームでの制作となりましたが、皆が同じ方向を見て、素晴らしい映画をつくりたいという共通の目標を持っていました。もう少し予算に余裕があれば、もう少し違ったかたちになったのかもしれませんが、全員が情熱をもって仕事に臨みました。ギャラの保証もないまま、積極的に協力してくださった俳優、そしてスタッフに心から感謝しています。皆の協力があって、この日があるわけですから。ありがとうございました。

午後の記者会見に続き、夜の上映後のQ&Aセッションは、監督とキャストがリラックスした雰囲気の中で会場からの質問にお答えいただきました。
映画の中のシーンについての具体的な質問やエピソード秘話が紹介されました。

『鋼のピアノ』


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