2010.10.29
[イベントレポート]
10/29(金) コンペティション 「隠れた瞳」 公式記者会見+Q&Aのご報告
■記者会見: 10月29日(金) 16:15~ @TIFF movie café
Q&A: 10月30日(土) 18:35~ @TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen6
■登壇者: ディエゴ・レルマン(監督/脚本/プロデューサー)、フリエタ・シルベルベルク(女優)
Q: 原作との出会い、そしてそれを映画化しようと考えられた経緯について、教えてください。
監督: 2008年2月22日の午後3時に読みました!冗談ですよ!!原作は、2008年に読みましたが、すぐに映画にしたいという気持ちにかられました。原作者のマーティン・コハンにも会いました。2009年12月から今年の2月にかけて撮影をしました。アルゼンチンの季節は日本と逆で、つまり学校が夏休みの間に撮影しました。
Q: 以前日本で上映された『ある日、突然』とは全く作風が違うので驚きました。女性教師が目をつけた男の子が日本の基準ではあまりハンサムではないということが気になったのですが?
監督: その理由は、フリエタに答えてもらった方がいいかもしれませんが・・・!私としては、その男の子とを金髪で青い目といった典型的な美男子にしたくなかったんです。また、キャスティングをする過程において、彼の視線に何か知的な、深みがあると感じました。
Q: フリエタさんとの出会いは?
監督: 映画にしようと思った時、この役にはフリエタがぴったりだと決めていました。これまで彼女が演じてきた役とは少し毛色の違う役どころだったかもしれませんが、素晴らしい女優の素晴らしい演技に大変満足しています。
Q: フリエタさん、出演依頼が有った時のこと、原作を読まれた時の感想を教えてください。
フリエタ・シルベルベルクさん: 初稿ができあがった頃の段階でお話しをいただきました。監督の作品は見ていましたし、今回の作品にも興味が沸きました。主人公についても魅力を感じました。原作は、脚本の読み合わせなどをしている最中に読みました。
Q: 監督1976年生まれということで、軍事独裁政権によってご家族を含めどのような影響を受けられたのですか?
監督: 1976年3月24日とまさにクーデタ―が起きた日に生まれました。ですから軍事政権は幼少時代の記憶の中にしかないのですが、私の両親が反政府運動に参加していたということから、隠れ家から隠れ家へとしょっちゅう引っ越しをしていました。怖いという気持ち、多くの人たちが集まって何か話し合っている光景、いつも会っていた人に突然会えなくなる、そういったことを感覚的に覚えています。親戚の中にはエクアドルに亡命した人もいますし、「いなくなってしまった人たち」、つまり政府によって抹殺されてしまった人たちもいます。両親は生き延びましたが、私はそういった、怖い、逃げているということだけしか覚えていません。
Q: ビジュアルがすごく美しく、静かなトーンが沁み入ってくる。本作の監督の美学についてお聞かせください。
監督: 作品の美学的要素として求めたのは、あまり重いものにならないようにと気を使いました。映画の雰囲気も状況も堅苦しいものでしたから、その他の部分についてはそうならないようにしました。それから主人公のマリア・テレザの主観を十分に生かすことを目指しました。常に意識していたのは、カメラを動かしつづけること。それからフレームアウトしている部分、フォーカス以外の部分についても気を使いました。ストーリーテリングも重要ですが、必ずマリア・テレザの主観を通して語られていくということを重視しました。
個人的に、理にかなったことを超越して感覚に訴えてくる、そういった作品に魅力を感じます。あえて尊敬する監督の名をあげるとしたら、私が映画作りの勉強を始めた頃、最初に影響を受けたルイス・ブニュエルです。
また、Q&Aセッションでは、シルベルベルクさんが演じたマリア・テレザという役どころについてお話いただきました。
フリエタ・シルベルベルクさん: マリア・テレザは、堅苦しさと、学生に対して抱いていた欲望といった、彼女の両極端な要素から生み出される緊張感を大切にしました。撮影に入る何カ月も前から監督や共演者と話し合いを重ねました。マリア・テレザという人物は、映画を通して少しずつ進化していきます。彼女が当初ビアスートに感じていた魅力というものも、少しずつ薄れていきます。彼女は「タバコを吸う学生を見つけ出す」という使命に執着し始めます。これは、自ら抑制していた気持ちや性的欲望に気付いたからで、また、それによって人間らしくもなります。
監督: マリア・テレザという人物を創りあげていく上で、例えば、歩き方についても気を使いました。フリエタに色々な歩き方をしてもらって、ビデオで確認しながら決めました。それから堅苦しい制限されたイメージの中にも、彩りを持ち合わせている女性であるということ。それから、常に頭の中で色々と考えている女性であるということを表したかったのですが、フリエタは、それを見事に演じてくれました。
Q&A: 10月30日(土) 18:35~ @TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen6
■登壇者: ディエゴ・レルマン(監督/脚本/プロデューサー)、フリエタ・シルベルベルク(女優)
©2010 TIFF
Q: 原作との出会い、そしてそれを映画化しようと考えられた経緯について、教えてください。
監督: 2008年2月22日の午後3時に読みました!冗談ですよ!!原作は、2008年に読みましたが、すぐに映画にしたいという気持ちにかられました。原作者のマーティン・コハンにも会いました。2009年12月から今年の2月にかけて撮影をしました。アルゼンチンの季節は日本と逆で、つまり学校が夏休みの間に撮影しました。
©2010 TIFF
Q: 以前日本で上映された『ある日、突然』とは全く作風が違うので驚きました。女性教師が目をつけた男の子が日本の基準ではあまりハンサムではないということが気になったのですが?
監督: その理由は、フリエタに答えてもらった方がいいかもしれませんが・・・!私としては、その男の子とを金髪で青い目といった典型的な美男子にしたくなかったんです。また、キャスティングをする過程において、彼の視線に何か知的な、深みがあると感じました。
Q: フリエタさんとの出会いは?
監督: 映画にしようと思った時、この役にはフリエタがぴったりだと決めていました。これまで彼女が演じてきた役とは少し毛色の違う役どころだったかもしれませんが、素晴らしい女優の素晴らしい演技に大変満足しています。
Q: フリエタさん、出演依頼が有った時のこと、原作を読まれた時の感想を教えてください。
フリエタ・シルベルベルクさん: 初稿ができあがった頃の段階でお話しをいただきました。監督の作品は見ていましたし、今回の作品にも興味が沸きました。主人公についても魅力を感じました。原作は、脚本の読み合わせなどをしている最中に読みました。
Q: 監督1976年生まれということで、軍事独裁政権によってご家族を含めどのような影響を受けられたのですか?
監督: 1976年3月24日とまさにクーデタ―が起きた日に生まれました。ですから軍事政権は幼少時代の記憶の中にしかないのですが、私の両親が反政府運動に参加していたということから、隠れ家から隠れ家へとしょっちゅう引っ越しをしていました。怖いという気持ち、多くの人たちが集まって何か話し合っている光景、いつも会っていた人に突然会えなくなる、そういったことを感覚的に覚えています。親戚の中にはエクアドルに亡命した人もいますし、「いなくなってしまった人たち」、つまり政府によって抹殺されてしまった人たちもいます。両親は生き延びましたが、私はそういった、怖い、逃げているということだけしか覚えていません。
Q: ビジュアルがすごく美しく、静かなトーンが沁み入ってくる。本作の監督の美学についてお聞かせください。
監督: 作品の美学的要素として求めたのは、あまり重いものにならないようにと気を使いました。映画の雰囲気も状況も堅苦しいものでしたから、その他の部分についてはそうならないようにしました。それから主人公のマリア・テレザの主観を十分に生かすことを目指しました。常に意識していたのは、カメラを動かしつづけること。それからフレームアウトしている部分、フォーカス以外の部分についても気を使いました。ストーリーテリングも重要ですが、必ずマリア・テレザの主観を通して語られていくということを重視しました。
個人的に、理にかなったことを超越して感覚に訴えてくる、そういった作品に魅力を感じます。あえて尊敬する監督の名をあげるとしたら、私が映画作りの勉強を始めた頃、最初に影響を受けたルイス・ブニュエルです。
また、Q&Aセッションでは、シルベルベルクさんが演じたマリア・テレザという役どころについてお話いただきました。
フリエタ・シルベルベルクさん: マリア・テレザは、堅苦しさと、学生に対して抱いていた欲望といった、彼女の両極端な要素から生み出される緊張感を大切にしました。撮影に入る何カ月も前から監督や共演者と話し合いを重ねました。マリア・テレザという人物は、映画を通して少しずつ進化していきます。彼女が当初ビアスートに感じていた魅力というものも、少しずつ薄れていきます。彼女は「タバコを吸う学生を見つけ出す」という使命に執着し始めます。これは、自ら抑制していた気持ちや性的欲望に気付いたからで、また、それによって人間らしくもなります。
監督: マリア・テレザという人物を創りあげていく上で、例えば、歩き方についても気を使いました。フリエタに色々な歩き方をしてもらって、ビデオで確認しながら決めました。それから堅苦しい制限されたイメージの中にも、彩りを持ち合わせている女性であるということ。それから、常に頭の中で色々と考えている女性であるということを表したかったのですが、フリエタは、それを見事に演じてくれました。