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2010.10.26
[イベントレポート]
コンペティション『ブライトン・ロック』10/26(火) Q&A

ローワン・ジョフィ監督

10/26(火)コンペティション『ブライトン・ロック』の上映後、ローワン・ジョフィ監督が登壇、Q&Aが行われました。
©2010 TIFF

ローワン・ジョフィ監督(以下 監督):最初にわたくしが申し上げたいのは、今回東京に招いていただいた事をたいへん光栄に思っております。じつは4年位ほど前に東京に休暇で来たのですが、それ以来東京が世界でいちばんすきな都市になりました。京都、箱根、広島と回って日本がほんとうに素晴らしい国だというふうに実感しておりますのでまた戻ってくることが出来てたいへん嬉しく思っております。

――“ブライトン・ロック”はグレアム・グリーンの有名な小説で、1度映画化されていますが今回2度目の映画化になった経緯を教えて頂けますか?

監督:一度映画化されていますが、この作品はハリウッドがよく作っている“リメイク”ではないです。忠実にそして誠実に原作を映画化したものです。

Q:グレアム・グリーンの原作がもっているカトリックの思想みたいなものを最後の場面で非常にうまく表現されていて、原作がもっているメッセージを、最初の映画化作品よりもはるかに誠実に忠実に映画にされていて非常に感銘を受けました。60年代の設定も面白かったです。

監督:ありがとうございます。最初の映画化に比べますと、ローズはアクティブな女性に描きたいと思いましてそういうふうに描いたつもりです。

――60年代を背景にしたのは最初からのアイディアだったのか企画を進めてるうちに出てきたものなのですか?

監督:最初の映画化は原作と同じ30年代が舞台だったので、今回この映画を作るにあたって違う年代を選びたかった。60年代というのは上の世代に反抗しだした。そういうところを描きたくて60年代の設定にしました。

Q:ザ・フーの「四重人格」の映画化『さらば青春の光』と同じ時代ですよね。ヒロインの買う服も『さらば青春の光』でヒロインが着ていた服と同じだったり、監督はどのくらい意識されましたか?

監督:とてもいい質問ですね。ありがとうございます。この映画を通して若者が上の世代に反逆するというのを描きたかった。それと同時にわたしはガイ・リッチー的なスコアが多くて商業的な作品を作るつもりはまったくなかったです。なぜならグレアム・グリーンは天国と地獄というものを信じてそれを描いてるわけですから。

Q:原作に関して何も知らなくて見に来たのですが、そういう目で見たときにやはりエンディングが気になるところで、観客それぞれに受け取っていいと思うのですが、私はやはり女性なので彼は彼女を愛してたと思いたいのですが監督はどうお考えですか?

監督:あなたは私のもっとも好きな観客です(笑)。原作はとても曖昧ではっきりしないので読者もよくわかりません。だからこそ好き勝手に想像を巡らしてかまわないのだけど、個人的に私もあなたと同意見で彼は彼女を愛していたと思います。だけど彼はとっても悪い男です(笑)

Q:ヘレン・ミレンさんとお仕事するというのはどのような感じですか?

監督:怖かったです(笑)。(司会者の矢田部PDをヘレン・ミレンに見立ててひざまづき)彼女に僕がメモを渡したいという設定です。ひざまづいて「ほんとに申し訳ない、ひとつだけやってほしいことがある」と哀願すると「あっちへいってちょうだい」と言われました(笑)
©2010 TIFF

Q:主演のサム・ライリーさんを始めとし役者さんたちの表情がよかったのですが、監督のほうから演技指導やアドバイスはあったのですか。

監督:それはいい質問ではありません(笑)サムはこの映画の中で一度も瞬きをしません。
1度伏せ目がちになるときがある程度です。もう一度じっくりご覧になってください。だから彼は目薬をかなり使っていました(笑)
リチャード・アッテンボローが演じた役を演じるということでかなりプレッシャーはあったと思います。
個人的に彼は素晴らしいカリスマの持ち主で威厳も持っていると思いますので、彼は長い間映画界業界で活躍してくれる俳優だと信じています。

――相手役のアンドレア・ライズボローさんとはどのように出会ってキャスティングされたのか教えてください。

監督:当初ローズ役はキャリー・マリガンが演じるはずだったのですが、彼女がこの役を降りてしまいました。ただ不幸中の幸いというか、アンドレアはローズ役として完璧ではこの映画はパーフェクトになりました。オーディションに来たときに「なぜ君はローズ役を演じたいのか」と聞いたら、ピンキーがローズの手をつまむシーンを演じたいと答えました。わたしはちょうどそのシーンを脚本からカットしていたのですが、元に戻しました(笑)

Q:どういう経緯でローワン・ジョフィ監督がこの映画を撮ることになったのか教えてください。

監督:今日一緒に来ているフランス人のスタッフの2人から最初の映画化のリメイクをしてくれというオファーが来ました。だけど僕はリメイクは作りたくないし、作りたい人もいないと思います。フランス人は日本人と同じように映画に対して深い理解や知識を持っていると思います。なのでリメイクでないものを作りたいと言ったら理解してくれました。個人的には日本では小津安二郎監督や黒澤明監督のファンです。

この物語はシンプルなものだと思いました。殺人者がいてその目撃者がいてその2人のラブストーリーというシンプルな物語だと思っております。

Q:今のブライトンの街でどれくらいの撮影をされているのですか?

監督:正直言いましてこの映画を作るにあたってブライトンの街ではこの映画の30%くらいしか撮影が許されませんでした。撮影監督はジョン・マシソンという主にリドリー・スコット監督の作品(『グラディエーター』『ロビンフッド』)の撮影をされている有名な方なのですが、彼からパンをすると現代のブライトンが映ってしまうからほとんどカメラが動かせないと言われたためです。
イーストボーンというところで40分くらい撮影しましてなるべくブライトンの雰囲気をこの映画に出せたらと思いました。

Q:まだブライトンにイタリア系ギャングはいるのですか?

監督:残念ながら今はそういう状況ではないです。この映画で描かれているのはイギリスの中でもターニングポイントになっている時代です。若者たちがかなりファッショナブルな服を着て年上の世代に反逆していた。今はそういう状況は見られません。しかし、日本はファッションへの認識が高いと考えているので日本の観客の方々にはこの作品を十分に理解して頂けると思っております。

Q:60年代当時のブライトンでモッズとロッカーズが対立している写真集があって、その写真集のイメージそのままで驚きました。その写真集にも出てくる桟橋が劇中にも出てくるのですがあれは今もブライトンにあるのですか?あと桟橋のシーンでクィーンの「セブン・シーズ・オブ・ライ」という曲がかかっていましたが、あの時代のブライトンの桟橋はあのような雰囲気だったのでしょうか。

監督:ひとつは残っていますがもうひとつは焼け落ちてしまったので、それはCGIで書き込まなければなりませんでした。
4年前京都に来たときにスーツを着た若者たち2人がスクーターに乗っていてハンドルのところに足を乗っけながら煙草を吸っていて、(モッズとロッカーズの対決は)モッズが勝ったんだなと思いました(笑)
モリッシーもそんな曲を唄っていたと思います。歌いませんからご心配なく(笑)
この映画では天国と地獄を描いているシンプルな物語ですが、スコアで当時の音楽を表現したいという気持ちはありました。

ローワン・ジョフィ監督インタビュー
コチラから

『ブライトン・ロック』
→作品詳細


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