2010.10.28
[イベントレポート]
コンペティション 『海炭市叙景』Q&A+記者会見のご報告
記者会見:10月28日(木) 15:40~ @TIFF movie café
Q&A: 10月28日(木) 17:07~ TOHOシネマズ SCREEN7
■ 登壇者 熊切和嘉(監督)、小林薫(俳優)、南果歩(女優)、三浦誠己(俳優)、加瀬亮(俳優)、
熊切和嘉監督(以下、監督): 大勢の人の思いがたくさんこもった映画ですので、それを今回映画祭で上映していただけて嬉しく思っています。どうぞよろしくお願いします。
小林薫さん: ちょっと異例な感じの、「海炭市叙景」っていうのは今までの制作スタイルじゃなくてですね、函館市民の方が、聞くところによると一口一万円という金額で参加されていて、制作費用を出されたということです。それでも予算がいっぱいある映画ではなくて、尚且つ函館の本当に映画を愛されている人たちが、手作りのお弁当とか、我々俳優部が現場に行く際の移動の運転役をやられたり、市民の方から力をいただいて出来上がった作品だと思っています。他の作品のことはわかりませんが、という意味でもかなり、異例な制作だったと思うんですね。本当に良い映画に仕上がったと思います。
南果歩さん: 小林さんがおっしゃった通り、今回は函館市という地方都市、まぁ海炭市ですけれども、そこの人、土地、空気、景色、その全てがフィルムに焼きついていると思います。たくさんのボランティアの皆さんによる全面協力でできた映画です。それはスタッフだけではなく、キャストの中にも現地で監督が大オーディションを行って選ばれたキャストがいまして、小林さんと私が演じる夫婦の息子も札幌の高校生で、加瀬君の息子役も奥さん役の方も現地の方だったり・・・。本当にスタッフ、キャスト、プロとアマの境界線がないような、成り立ちとしては新しい映画のかたちじゃないかと思うくらいの、融合と言いますか混ざり合いがありました。そういう作品をまとめる監督がどれだけパワフルで、大声を出して仕切るっているようなイメージをもたれるかもしれませんが、熊切監督は耳元で一言二言ボソボソっと「もうちょっとこうですかね」とか、本当に物静かで物腰が柔らかくて、現場の中心人物なんですけども、どこにいるかわからない、それこそ融合の真ん中に見事に一体化している監督さんでした。熊切監督の作品は好きでずっと観ていたんですが、監督の作品の中でこれがベストワンじゃないかなと思いますし、参加できて幸せでした。
三浦誠己さん: 僕は脚本を読ませていただいて、すっごく観たい映画だなと、この完成が早く観たいなと、最も皆さんに観て頂きたいと思いました。演じる時に、この上ない喜びと責任感を感じました。そして、本当に函館のスタッフの方々や賛同いただいた方々なくしてこの映画は完成しなかった映画です。現場で皆さんに協力していただいたおかげで、東京で撮る映画とまた違った空気感がある中で、役者の気持ちとか表現しようとしていることに対して現場で役者を待つというか、芝居を撮ってくれている監督の姿勢も嬉しかったです。雪や太陽を待ったり雲を待つなど映画本来のと言いますか、昔の巨匠の方々がやっていたとされるような贅沢なことができた現場だったので、すごく僕にとっては、役者としてこれからの人生も考え方とかも180度変わった凄く思い出深い作品です。たくさんの人に見てもらいたいです。
加瀬さん: 今の時代にこういった小さな企画が生き延びて、純粋にかたちになったことをとにかく嬉しく思います。
Q: 函館のアマチュアのキャストの方々との共演はいかがでしたか?
加瀬さん: 違和感というよりは、今回一般の方が俳優として参加してくれたおかげで、すごく色々な偶然や生々しさが画面に入り込んでくれたと思いますし、何よりも10年近くやってきた自分についた余計なアカを意識させられて、すごく勉強になりました。
小林さん: 加瀬君のようなフレッシュな人に垢が溜まっているのなら、僕はどれくらい溜まっているんだろうかと!プロということの戸惑いをどこかで抱えていないと、お芝居のドキドキ感に出会わなくなる気はします。このことに関しては、加瀬君と同じ意識だと思います。今回の様に素人の方と演じていると、我々は余計なものを意識していると気付かされました。そういう意味で彼らは良い鏡になってくれました。
Q: この作品は海炭市の人々の生の空気を表現していましたが、それは、意図的だったのでしょうか?
監督: その様に感じて頂けてとても嬉しいです。本当にそこに人が暮らしていて、その人達の人生が映画の前後にあるように見せたかったです。また、記者会見に続いて行われたQ&Aセッションでは、原作と脚本についての質問がありました。
Q: 原作を忠実に描いたのでしょうか?それとも設定の変更などがあるのでしょうか?
監督: 佐藤泰志さんの原作は18話から構成されていますが、さすがに18話すべてを映画化するわけにはいかなかったので、主に5つのエピソードを中心としました。所々シーンを合体させたりして脚本化しましたが、最初に本を読んだときに感じた佐藤先生の精神は受け継いだつもりです。実際、5人に絞るのはとても大変でしたが、正直に自分の心に響いたエピソードを選びました。裏町の呼び込み役の猫を飼っているおばあちゃんは、函館の怪しげな路地で実際スカウトしました。おそらく、映画の中で見たことないな、という人はほとんど現地の方々です。
『海炭市叙景』
Q&A: 10月28日(木) 17:07~ TOHOシネマズ SCREEN7
■ 登壇者 熊切和嘉(監督)、小林薫(俳優)、南果歩(女優)、三浦誠己(俳優)、加瀬亮(俳優)、
熊切和嘉監督(以下、監督): 大勢の人の思いがたくさんこもった映画ですので、それを今回映画祭で上映していただけて嬉しく思っています。どうぞよろしくお願いします。
小林薫さん: ちょっと異例な感じの、「海炭市叙景」っていうのは今までの制作スタイルじゃなくてですね、函館市民の方が、聞くところによると一口一万円という金額で参加されていて、制作費用を出されたということです。それでも予算がいっぱいある映画ではなくて、尚且つ函館の本当に映画を愛されている人たちが、手作りのお弁当とか、我々俳優部が現場に行く際の移動の運転役をやられたり、市民の方から力をいただいて出来上がった作品だと思っています。他の作品のことはわかりませんが、という意味でもかなり、異例な制作だったと思うんですね。本当に良い映画に仕上がったと思います。
南果歩さん: 小林さんがおっしゃった通り、今回は函館市という地方都市、まぁ海炭市ですけれども、そこの人、土地、空気、景色、その全てがフィルムに焼きついていると思います。たくさんのボランティアの皆さんによる全面協力でできた映画です。それはスタッフだけではなく、キャストの中にも現地で監督が大オーディションを行って選ばれたキャストがいまして、小林さんと私が演じる夫婦の息子も札幌の高校生で、加瀬君の息子役も奥さん役の方も現地の方だったり・・・。本当にスタッフ、キャスト、プロとアマの境界線がないような、成り立ちとしては新しい映画のかたちじゃないかと思うくらいの、融合と言いますか混ざり合いがありました。そういう作品をまとめる監督がどれだけパワフルで、大声を出して仕切るっているようなイメージをもたれるかもしれませんが、熊切監督は耳元で一言二言ボソボソっと「もうちょっとこうですかね」とか、本当に物静かで物腰が柔らかくて、現場の中心人物なんですけども、どこにいるかわからない、それこそ融合の真ん中に見事に一体化している監督さんでした。熊切監督の作品は好きでずっと観ていたんですが、監督の作品の中でこれがベストワンじゃないかなと思いますし、参加できて幸せでした。
三浦誠己さん: 僕は脚本を読ませていただいて、すっごく観たい映画だなと、この完成が早く観たいなと、最も皆さんに観て頂きたいと思いました。演じる時に、この上ない喜びと責任感を感じました。そして、本当に函館のスタッフの方々や賛同いただいた方々なくしてこの映画は完成しなかった映画です。現場で皆さんに協力していただいたおかげで、東京で撮る映画とまた違った空気感がある中で、役者の気持ちとか表現しようとしていることに対して現場で役者を待つというか、芝居を撮ってくれている監督の姿勢も嬉しかったです。雪や太陽を待ったり雲を待つなど映画本来のと言いますか、昔の巨匠の方々がやっていたとされるような贅沢なことができた現場だったので、すごく僕にとっては、役者としてこれからの人生も考え方とかも180度変わった凄く思い出深い作品です。たくさんの人に見てもらいたいです。
加瀬さん: 今の時代にこういった小さな企画が生き延びて、純粋にかたちになったことをとにかく嬉しく思います。
Q: 函館のアマチュアのキャストの方々との共演はいかがでしたか?
加瀬さん: 違和感というよりは、今回一般の方が俳優として参加してくれたおかげで、すごく色々な偶然や生々しさが画面に入り込んでくれたと思いますし、何よりも10年近くやってきた自分についた余計なアカを意識させられて、すごく勉強になりました。
小林さん: 加瀬君のようなフレッシュな人に垢が溜まっているのなら、僕はどれくらい溜まっているんだろうかと!プロということの戸惑いをどこかで抱えていないと、お芝居のドキドキ感に出会わなくなる気はします。このことに関しては、加瀬君と同じ意識だと思います。今回の様に素人の方と演じていると、我々は余計なものを意識していると気付かされました。そういう意味で彼らは良い鏡になってくれました。
Q: この作品は海炭市の人々の生の空気を表現していましたが、それは、意図的だったのでしょうか?
監督: その様に感じて頂けてとても嬉しいです。本当にそこに人が暮らしていて、その人達の人生が映画の前後にあるように見せたかったです。また、記者会見に続いて行われたQ&Aセッションでは、原作と脚本についての質問がありました。
Q: 原作を忠実に描いたのでしょうか?それとも設定の変更などがあるのでしょうか?
監督: 佐藤泰志さんの原作は18話から構成されていますが、さすがに18話すべてを映画化するわけにはいかなかったので、主に5つのエピソードを中心としました。所々シーンを合体させたりして脚本化しましたが、最初に本を読んだときに感じた佐藤先生の精神は受け継いだつもりです。実際、5人に絞るのはとても大変でしたが、正直に自分の心に響いたエピソードを選びました。裏町の呼び込み役の猫を飼っているおばあちゃんは、函館の怪しげな路地で実際スカウトしました。おそらく、映画の中で見たことないな、という人はほとんど現地の方々です。
『海炭市叙景』
©佐藤泰志/『海炭市叙景』製作委員会